2018年11月8日木曜日

車載用DC/ACインバータを真空管アンプ用電源にアレンジしてみる・・・ (Part-9)

回 Part-8では、DC/ACインバータ本体の主要回路が搭載されている基板に手を入れて、二次側出力を倍電圧整流して使うための改造方法について説明させていただいた。 元々基板に実装されていた面実装タイプの FRDを基板ごと切り出して再利用する方法についても記させてもらったのだが、一方でバラして組み直す場合も視野に入れて、市販品のテキトーな FRDを使う場合の選び方についてもツボを押さえておきたいと思う次第。


の写真は、Part-7と Part-8で使った実験環境にさらに手を入れ、評価したいダイオードにかかる電圧と、流れる電流の波形をモニタできるようにしてみたところ。 オシロスコープで波形をモニタしながら負荷抵抗を取り替えて、 FRDで重要になる ダイオードにかかる電圧が反転して OFFになった瞬間の挙動を調べてみたいと思う。


シロでプロービングしているところを拡大 ご覧の通り、評価したいダイオードと直列に 1Ωの抵抗を入れて電流検出用に使用する。


路図上に上の写真の内容を追記すると、こんな感じになるかな
写真ではすでに別のダイオードが装着されているが、最初のステップとして、ひとまず元の取り外した面実装品×2直列のダイオードに 1Ωの抵抗が直列に入るようにセッティングし、リファレンスとなる波形を見ておきたいと思う。

TPGと記した箇所にプローブの両 GND端子、TP1には Ch1、TP2には Ch2をそれぞれ接続して波形を確認する。 Ch2は 1Ωの抵抗両端を計測することになるので、そのまま電圧レンジの Vを電流の Aに読み替えればOKだ。 今回の実験では一通り流して確認してみた結果 200mV/divで計測することにしたので、200mA/divと読み替えて確認して欲しい。 Ch1はそのまま 100V/divでダイオード両端にかかる電圧を見ていることになる。


初は軽い目の負荷ということで、セメント抵抗を組み合わせて 10KΩになるように接続してみたところ。 電流波形は立ち上がってからしばらくすると減少してくるようなので、波形が反転してダイオードが OFFになる瞬間の電流は 1/3以下に落ちているように見える。 OFFになった瞬間のリカバリ損失を見たいのだが、ここではほとんど損失になるような挙動は出ていないようだ。


いては、一部の抵抗を外して 6KΩの負荷。 電流が増えてダイオードが OFFになる瞬間の波形が目立つようになってきたかな。


らに抵抗を外して 3KΩ負荷。 だいぶそれらしい波形が観測されるようになってきた。
実は、最初は 3KΩ負荷までで十分と思って一通りデータを取ったんだけど、あとから比較しようと波形を見ても 挙動が判りにくいように思える状態 だった。 リカバリ損失はダイオードに順方向電流を流せば流すほどそれが反転時に流れ出て増えるので、50Wの電源ユニットで出せる出力ギリギリまで調べてみるかと、もう一段負荷を小さくしてデータを取り直してみた次第。


い、これで最後とばかり 1.5KΩ負荷ね マイナス方向にかなり太いヒゲが観測されている。
さらに判りやすいように、時間軸を引き延ばして波形を拡大してみよう。


間軸を 500nS/divに設定してみたところ。 最初は 10KΩ負荷ね。


は 6KΩ負荷。


いて 3KΩ負荷。


らに追加で 1.5KΩ負荷。 ハッキリとマイナス方向にリカバリ電流が流れている様子が確認できる。 波形をそのまま信用するなら、300mA×100nSというところか。 額面 35nSの FRDにしてはちょっとリカバリ時間が長いような感じがするものの、この程度であれば特に問題になるレベルではないだろう。
リカバリ損失は、極性が反転した瞬間にダイオードにかかる電圧と流れる電流、さらにそれが持続する時間の積なので、要はこの負方向の波形がコンパクトなものほど損失が少ないということになる。 さらに、ここで下側の電圧波形のスロープがなだらかになっているのが損失を軽減する方向に作用しているのが幸いなところかな。 

それでは、特性を評価したいダイオードを順次取り替えて、同様に負荷抵抗を接続した際の挙動を見ていきたいと思う。



回の実験で候補に挙げたのは、これらの 4種類ね
  • サンプル1: 11DF4 (日本インター) 400V 1A Trr=30nS - 上写真右側
  • サンプル2: UF2010 (PANJIT) 1000V 2A Trr=75nS - 下写真右側
  • サンプル3: ERC38-05 (富士電機) 500V 1A Trr=50nS - 上写真左側
  • サンプル4: ER504 (PANJIT) 400V 5A Trr=35nS - 下写真左側
ひとまず 1本ずつテスト環境に装着し、通電して挙動を探ってみることにする。
波形の方は負荷抵抗を変えながら一通り取ったんだけど、先ほども記させてもらった通り 負荷の軽い領域ではイマイチ違いが判らない というのもあるんで、皆さんに見ていただくのは最も重い 1.5KΩ負荷の拡大波形のみにしようかと。 何だかんだとコレがいちばん判りやすいんでね


ンプル1: [11DF4 (日本インター) 400V 1A Trr=30nS]
今回テストした中では最もリカバリタイムが小さい 30nSとなっている。 小型のパッケージで扱いやすそうなデバイスなのだが、昔マルツさんで購入した記録が残っているものの、調べてみたら今は取り扱いがなくなって追加購入は無理っぽいですな。 波形を見る限り全く問題はないので、入手できるなら使ってみましょうということで。


ンプル2: UF2010 (PANJIT) 1000V 2A Trr=75nS]
昔々に秋月電子で購入して色々実験に使わせてもらった記憶があるんだけど、イマイチ良い思い出がないというのが実際のところ。 波形も立ち下がった状態からの復帰が遅く、電圧波形の方にも少し影響を与えている様子が伺える。 出力電流を欲張らなければ使えないこともないのかも知れないが、私としては使いたくない というのが正直な感想ですな。


ンプル3: ERC38-05 (富士電機) 500V 1A Trr=50nS]
少し前にデジットの特売品で購入させてもらった一品。 波形を見る限りでは全く問題はなさそうで、元々の ER3D×2直列と同じ位の特性に見える。 そこそこ古い製品のようで図体は大きいのだが、このサンプルでは Trr=50nSの割に特性は良好で、何と 10本切りテープが 100円と安価に買える のがよろしいですな。 私としてはゼヒ 2番手位に推しておきたいかも、ということで。


ンプル4: ER504 (PANJIT) 400V 5A Trr=35nS]
少し前に秋月通販で販売されているのを見付けてポチらせてもらった一品。 定格電流が 5Aと余裕があるんだけど、図体デカ目でリード線が太く、取り回しは少し面倒かも。 まぁコレも単価 30円と安価に購入できるんで、これから買うのならイチ押し というところかな。

ということで、ささっと 4種類ほど FRDを試してみたのだが、このシリーズもだいぶ長期化してきたんでマンネリ化しているようにも感じるところ。 この先のネタとしては、今回評価した FRDを使った試作とか、出力電圧の目安を付けるのに電源電圧をどれくらいに設定すれば良いかとか、保護回路の設定よりも電圧を上げたい場合の小技とか・・・ まぁ軽く 1回分はあるという状態なんだけどね

はい、とりあえず別のネタも挟みつつ、記事にできそうなネタは随時ご紹介して行きましょ~かね

ということで、今日のところはひとまずこの辺で失礼をば・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿

【重要】 ただ今、過去の投稿分を含む全てのコメントが表示されなくなっています。
原因を調査中ですので、不具合解消までご不便をおかけしますが何卒よろしくお願いいたします m(__)m
------------------------------
記事の内容に無関係なコメント投稿はご遠慮下さい m(__)m
※「コメントの記入者:」欄で、「名前/URL」を選択すると、ペンネームのみで投稿いただけます。
※HTMLタグ(一部除く)、絵文字、テキストの装飾は使用できません。
※現時点で iPhoneからのコメント投稿ができない制限が判明しています。 ご不便をおかけしますが、何卒ご了承下さい m(__)m