前回は AC電源との間に色々な種類のパッシブな素子を入れ、調光する場合のヒントを探ってみたのだが、今回はその続編として、アクティブな素子による位相制御の実験をしてみたいと思う。
今回の実験環境はこんな感じ・・・
アルミ板に取り付けた acriche AW2204とAC電源の間に、ブレッドボード上に組み立てたトランジスタ、ダイオードやCRなど、簡単な回路を挟み、前回同様オシロスコープで波形計測を行ってみた。
さて、一口に“位相制御”と記しても、さすがにピンと来る人は少ないかも知れないな・・・
要は、白熱電球や、ハンダゴテなど、あまり波形がキレイでなくても問題ない機器のパワー調整によく使われる技術で、波形の一部を削り取って、見かけ上のパワーを落とす制御を行うやり方の総称だ。
AC電源で動作する機器には、通常“トライアック”という双方向に導通する“サイリスタ”が使われており、例えば秋月電子などでもキットを購入することができる。
但し、一般的なトライアックは、数10W以上の機器に使うための素子が一般的であり、2WのLEDにはそのまま応用はできない。
要は、ON/OFFを制御するための電流が LEDに流す電流よりも大きいとか、頭でっかちな状態になってしまうのだ
ということで前置きが長くなったが、今回の実験環境の回路図ね。
個別のトランジスタで、高感度サイリスタと同様の回路を起こしてみた。
トライアックは双方向の電流制御ができるが、トランジスタで真似ることはできない。 サイリスタは単方向のみの制御素子なので、これの高感度版をトランジスタで作り、ブリッジダイオードで AC電源対応にしてみた。
最初は、VRを抵抗が最小になるよう回しきった状態の波形。
ロスはゼロではないものの、ほぼ最大パワーがLEDに加わっている。
続いてVRを少し回し、抵抗分が大きくなるようにした。
VRと1uFのコンデンサで少し遅れて 2SC780Aにトリガがかかり、それが 2SA970で正帰還状態となって戻され、導通状態で自己保持されるという寸法だ。
トリガされると、AC電源の上または下の半サイクルが終了し、この素子にかかる電圧がゼロになるまで保持状態は続く。
回路図のところで、敢えて“高感度サイリスタ”と記したのは、一般的な小電流用サイリスタであっても、保持電流が数mA以上必要で、このLED程度の負荷電流では最後まで自己保持が続かないことになるためだ。
さらに VRを回し、抵抗分が大きくなるようにした。
波形はほぼ半分強が削り取られた状態で、明るさも大分暗くなったように思う。
さらに VRを回して行くと・・・
今まではあまり気にならなかったのだが、波形の揺れが時々発生し、削り取られる幅にも変動が生じているようだ。
ここでも、波形の上と下で幅が違っている様子が記録されており、安定性を求めるならここまで減少させるのはやめた方が良さそうだ。
抵抗最大状態で放置すると、やはり不安定状態となることがあった。 変動が次のサイクルに回り込み、「1回休み」を繰り返してチラツキが発生している。
AC電圧やその他の条件の変動は考慮していない簡易回路なので、安定動作のためには可変範囲を狭くするか、もう一工夫した方が良いかも知れないな。 もちろん電源周波数の影響もあるので、50Hz地域では定数の変更も必要になる。
さて、今回はとりあえず“実験レベル”ということで、エキスが集まればOKということにしておきませう
あんまりこのシリーズを追いかけるのも何なので、ここらで区切っておこうかな・・・
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