2013年3月17日日曜日

蛍光表示管“LD8113”のヒーター点火用電源を検討してみる (Part-2)

光表示管“LD8113”ネタやバーグラフネオン管“IN-9”ネタ、いぢっていると時間を忘れて没頭してしまうことが多いんだけど、中断があると何となく熱も冷めやすいような気がしますなぁ(汗;

ということで少し間が空いてしまったけど、前回 2月20日の記事からの更新分をご紹介しておきたいと思う。


レッドボード上の回路はこんな感じで。
回路自体は前回のとほとんど同じ内容なんだけど、ブレッドボードの接触不良でちょっとしたトラブルがあったんで、場所を変えて組み直してみた。


状の回路図はこちらね

今回の「キーパーツ」としては定番の電源用IC“NJM2360A”を使っており、用途上蛍光表示管ヒーターというやや低圧大電流の負荷を扱うのと、ヒーターの片側にプラスのバイアスをかけたい(=ダイナミック点灯で消灯しているタマのグリッドを負電圧にしたい)という目的があるので、負荷の片側を +5Vに直結できる「電流連続型PWMコンバータ」を構成してみた。

NJM2360AやMC34063のアプリケーションには載っていない特殊な使い方ではあるものの、今までテストしている感触では、ICのメーカーが変わってもとりあえず動作してくれているという感じかな。

ここで少しだけ回路についてのウンチクを記しておくと・・・
まずこのICの標準的アプリケーションとの決定的な違いをお話しするなら、「内蔵の誤差検出用コンパレーターを使わない」ということですかね。
このICの誤差検出用コンパレーターは、フルパワーで動いているコンバータを「出力が設定電圧を上回ったら休止させる」という働きを持っている。 つまり“PFM動作”を司る回路の心臓部というべきブロックね。
上記の回路ではこのコンパレーターの入力は GNDに落として連続動作状態にしておき、負荷と大きめのインダクタを直列接続した回路に出力を供給する。 そして“IPKセンス”、つまり電流制限端子を使って負荷両端の電圧を検出し、出力を制御するように構成してみた次第。
ちなみに、JRC(新日本無線)のデータシートでは、電流制限端子は「タイミング用コンデンサCTの急速充電によってON時間を短く、OFF時間を長く」としか記されていないが、ONセミやTIのデータシートを読み解くと、この端子はアナログ的なオーバードライブ量によって急速充電のパラメータが変化することが読み取れる。
まぁICのバラツキや、セカンドソースのメーカーが変わるとこのあたりの特性も違ってくるんだろうけど、「適度なヒステリシスを持ってPWMコンバータとして振る舞ってくれそう」という期待を込めてみたということで(笑)

それともう一つ、このICの標準的なアプリケーションで降圧型コンバータを構成すると、スイッチ素子がハイサイドからの NPNトランジスタのダーリントン接続になるんで、電圧ロスがどうしても1.2V以上発生するというイケてない状態になるんだけど、上記の構成ならローサイドからのトランジスタ単発なんで、飽和電圧はせいぜい0.5V程度で収まってくれそうな感触かな。 まぁ SBDの順方向電圧ロスとインダクタの巻き線抵抗が効いてくるのは仕方ないとして、ここはワンランク余裕のある大電流用を奢ってやることを検討しよう(笑)


し長くなったけど、NJM2360A+1N5822+LHL13NBの組み合わせで、LD8113を5球点灯させた状態の波形。

オシロの CH1は NJM2360AのCS端子(1Pin)、CH2はコイルを通った後の出力端子に 5V電源共通で接続してある。
今使っているオシロには波形を反転する機能もあるんだけど、ちょいとオシロのファームににBugがあるようで正しく表示されない現象が散見されたため、画面最上部基準で下方向に見ていただければと(苦笑;
ちなみに、CH1は 2V/Div、CH2は 200mV/Divでの計測ね。

時計にする場合を考えて 6球のヒーターを並列接続するつもりで定数を決めたんで、ちょっと負荷が軽い状態。 やや周波数が下がって脈動も多くなっているが、これは想定範囲内。 4球よりも少なくする場合は、コイルの見直しをするのが良さげな雰囲気かな。


れでは、ICのセカンドソース品挙動調査のため、手持ちの別メーカー品に差し替えて動作確認をやってみることにする。
まず最初は実験のベースとして扱う新日本無線(JRC)の NJM2360A君。 負荷はLD8113のヒーターではなく、2.2Ω1Wの酸金抵抗に差し替えておく。

ちなみに CH1のマーカーより上を見ていただくと、SBDの順方向電圧のロスが、波形の底を見ていただくと IC内蔵トランジスタの飽和電圧が確認できる。


初のセカンドソース品 (というか、こちらの方がよりオリジナルに近いね)は、オンセミのMC34063A君ね。

電流制限端子の特性が変わるためか、出力電圧や発振周波数が変動するので、出力の平均値が 1V近辺になるようVRで調整する。
発振周波数がやや高めに推移しているが、特に問題は見られず。 まぁこんな感じですかね。

ちなみに発振周波数は、本来のタイミング用コンデンサCTよりも、負荷と出力端子間のインダクタと電流制限端子のアナログ特性の影響が支配的になってくる。


のセカンドソース品は、SHARPさんの IR3M03A君。 デジットで1個50円で仕入れたヤツね。

こちらもVRの調整は必要だったが、特に問題なし。
実は最初にブレッドボード上で差し替えを試して全然出力が出ない現象に見舞われて焦ったという事実があるんだけど、トラブルシュートの結果は「ブレッドボードのコンタクト接触不良」でごぜ~ました(苦笑;
まぁ判ってしまえば何のことはない・・・ っちゅう感じではあるものの、イケてまへんなぁ・・・

最後は ICをNJM2360Aに戻し、インダクタとSBDを取り替えて効率がどう変わるかをサラッと確認して終わることにしようかな。


初は 1N5822+LHL10NBの220uH品での組み合わせ。
波形上の変化はほとんどないようだが、コイルが小型になって巻き線抵抗が高くなった分、5V電源の消費電流が少しだけ増えている。


いては、11EQS04G+LHL10NBの組み合わせ。
SBDを小型の1A品にしたのでやや順方向電圧ロスが増えている。 こちらも波形上の変化はほとんどないが、注意深く見れば CH1のマーカーより上にはみ出た部分が少し大きくなったのが確認できるはずだ。 結果的に5V電源の消費電流が少し増加している。


後は 11EQS04G+LHL13NBの220uH品、つまりインダクタを大きなモノに戻したところ。
波形としてはほとんど変化はないが、巻き線抵抗が減った分ロスが減って消費電流も少し減少している。

最後のインダクタとSBDの実験については波形上の変化がほとんど見られない状態だったので実感がわかないというのが現状だが、負荷電圧が1Vそこそこと低い部類に入るので、ロス低減のためには 1ランク大きなものが良いというのはご理解いただけると思う。
まぁ 1N5822(3A品)もLHL13NB(外形が13mm)の220uH品も秋月の定番品なんで心配は要らないと思うが、動作上は 11EQS04G(1A品)や LHL10NB(外形が10mmと小さい)でも問題なく使えることをご報告しておきたいと思う次第。

これは余談だが、先日Aitendo's電子工房で衝動買いした中華オシロを使い始めてみたんだけど、色々Bugありますなぁ・・・

 ・波形を反転させると、正常に表示されないことがある
 ・帯域制限やフィルタが、単発にする(トリガを止める)とクリアされる
 ・計測中に画面ハードコピーを取ると、ブランク画面が記録されることがある


それと、USBメモリにハードコピーした BMP画面は 320×234ピクセルなんでBlogに貼りやすい反面、拡大して詳細までは見づらいというのは一長一短かも。

やっぱり「値段なり」のモノですかね・・・ (笑)

ではでは、今日はこの辺で・・・

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