最近、電子工作ネタからちょっとばかし遠ざかっていて申し訳ない限りで・・・
今回のネタも、厳密な分類でいうなら全く工作の要素はないんだけど、雑学的な知識としては有効だとも思うので、まぁその辺りは笑って許していただければと。
ツェナーダイオードというと、別名定電圧ダイオードと呼ばれることもあり、本来の用途は「基準電圧生成用」だ。 まぁ何と言いますか、最近は三端子レギュレータが幅を利かせてきたためか単品で基準電圧源として使われることは少なくなってきたようにも思う次第。 どちらかというと、入力端子に想定外の電圧がかかったときにGNDに逃がして「中の人」を守るための「サージ吸収用」とかの用途もよくある使い方だ。
さて、ツェナーダイオードを基準電圧源として使う場合、適当な抵抗を通して自身のツェナー電圧よりも高めの電圧を供給してやればOK。 負荷変動があまりないという前提ならばそれほど厳密な計算をすることも不要なので、それこそツェナーダイオードの特性も調べる必要もなかったりする。
一方、保護素子として使いたい場合、入力電圧が制限にかからない範囲では電流が全く流れず、制限にかかると速やかに流れるようになって欲しい訳なので、この境界付近でどういう挙動をするのかちょっと調べてみたくなったというのが今回の記事につながっているという訳でして・・・ はい。
ではでは、ちょいと前置きが長くなったけど、行ってみましょ~かね
早速「ものは試し」とばかり、5種類ほどツェナーダイオードを出してきて半導体アナライザにかけてみたところ。 左からそれぞれ公称電圧 5.1V、5.6V、7.5V、9.1V、12Vのデバイスのデータになる。
何の先入観もない状態でこのカーブを見ると、皆さんはどのように感じられるだろうか?
半導体アナライザの内部電圧源が12V程度までしか出せないので電圧の高い素子はあまり電流を流して測定できないのだが、何となく7.5Vのがカーブが垂直に近い(つまり内部抵抗が低い)ように見えますな。 それと、電圧が低い5.1Vとか5.6Vのは電流の流れ始める境界が緩やかで、もしこれらを保護素子として使うならこの境界付近で流れる電流のことも考えてやらないといけないことが読み取れますな・・・。
もう少し具体的な話をしておくと、実はとあるスイッチングレギュレータの誤差増幅器入力(FB端子=約1.25V)と出力端子間に微分補償用のコンデンサを入れる必要があるため、この入力端子に保護素子を入れたいと思って適当なツェナーを探していたというのが正直なところ。 このレギュレータICのデータシートによると 3V以上の電圧がかかってはいけないことになっているので、1.25Vで全く電流が流れず、3Vの手前で一気に電流が流れ出してくれるのが理想的だ。
さらに、微分補償用のコンデンサを入れるとマイナス方向のサージが発生することもあるんで、ツェナー以外の素子で代用する場合は何となく別のダイオードをパラっておきたくなるのもアタマの片隅に置いておくべきかも。
それではということで、さらに電圧の低いツェナーダイオードを出してきたところ。 以前シリコンハウス共立で求めた 2.0V、3.3Vのと、別途秋月電子で購入した2.7V品、何れもチップタイプのものだ。
先ほどのと比較の意味も込めて、左からそれぞれ 2.0V、2.7V、3.3V、4.7V、5.6V品のカーブを並べてみたところ。
正直なキモチをお話しするなら、電圧の低いツェナーほど立ち上がりの領域が緩やかな特性のようなので、このまま保護素子として使うのはイマイチのような感じがする。 1.2V程度かかっている端子に1.0V程度から電流が流れ始める素子を使うと誤差まみれになってしまうんで、何をやっていることか判らんようになりますなぁ(大汗;
ちょっとしたひらめきを感じて、小信号用 MOS FETが代用品になるのではと思い、手近な 2N7002K君を出してきたところ。 MOS FETをスイッチング用として使う場合のゲートスレッショルド電圧がちょうどそれ位だったような・・・ ということで(笑)
ゲートとドレインを直結すると、このスレッショルド電圧を越えると ソース~ドレイン間が導通するツェナーの代用素子として使えるかも、という感じですな。 それに、MOS FETにはボディダイオードも入っているんで、逆方向の件も心配なしというのも好都合。
写真はちょうどブレッドボード装着用にと自前の変換基板に加工してあったチップ×2本。 実はこのFET、SOT-23用の変換ソケットに装着するもその短足のせいでちゃんと接点にフィットしないんで、やっぱり変換基板が有用だったりするのね・・・。
早速ツェナーの 2.0V品、2.7V品、2N7002K×2本を半導体アナライザにかけてみたところ。
これは余談だが、ソフトウェアのバージョンアップ案内が来たんでそのままUpdateしたら、グラフの体裁が変わってますなぁ(笑) グラフにデバイスの名前を入れられるようになってるし、なにげに便利♪
2N7002K君、このグラフを見ると意外と保護素子としても有用な感触ですな。 他のツェナーとくらべると内部抵抗も低く、立ち上がり特性も申し分なさそうな感触ですワ。
もう少し細かいところも調べてみようと、電流が少ないところが見えるようスケールを調整してみたところ。
惜しいかな、2N7002K君のスレッショルドがあと 0.2V位上だったら即決採用なんだけどネ・・・ ゲート端子を抵抗分圧で処理するという手も考えられるんだけど、ちょっと基板のスペースを考えると苦しいので、今回は 2.7V品のツェナーでお茶を濁しておきますかね。
ではでは、今日のところはこれにて・・・
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